2016年千葉県支部稲門祭

講演する菊間千乃さん曼荼羅チャート

 今年のイベントの中でも最も忙しい「早稲田大学校友会千葉県支部2016年稲門祭」がやっと終わった。
一昨年まではただ単に参加するだけでよかったが、昨年は写真撮影係で、食事をとる暇もない。今年は講演会の会場係、やることはほとんど無いに等しい。講演も懇親会にもゆっくりと参加できた。
支部稲門祭そのものは多すぎるほどの実行委員で、佐藤実行委員長を中心としたごく一部の委員を除いて、それほど忙しいとは思えない。ただ、千葉県内のいずこの稲門会も参加者集めにはかなりの負担を感じているようだ。我孫子稲門会では、一昨年は21名、昨年は18名の参加で、今年は19名の目標を与えられた。結果は18名になった。
我孫子の場合は設立後16年と歴史が浅いため、世代交代がまだはかばかしくない。今後会員の老齢化が進むと会員数も漸減していく恐れがある。

 さて、今年の千葉県支部稲門祭で最も印象に残ったのは、弁護士、菊間千乃(きくまゆきの)さんの講演であった。タイトルは「今の自分を超える」。
彼女が普通の弁護士だけであれば、このような場所で講演することはないだろう。前にフジテレビアナウンサーの経験があったからである。民放のテレビアナウンサーはNHKアナウンサーと違い、タレントなみに危険な仕事もやらされる。
1998年、「めざましテレビ」という番組で災害時の脱出実演を行いマンションの5階の窓から落下、マットにたたきつけられ全治3か月の大けがをする。1年後に復帰するが、これがきっかけとなって、弁護士になることを目指し本格的に勉強を始め、フジテレビを退職し2010年に弁護士資格を取得する。現在フジテレビの顧問弁護士でもある。

 講演の中で彼女が強調したかったのは「10年後の自分を考えて今行動する」ということである。小学3年生のとき早稲田大学に入る、小学校6年のときフジテレビのアナウンサーを目指そう。そしてフジテレビに入った後で会社に提出したレポートでは10年後に司法試験を受けると書いている。アナウンサー時代にも弁護士の夢は持っていたが、真剣に考えるようになったのは落下事故後のことである。代役となった人がまったく予定通りにその番組をこなしてしまったことだと云う。アナウンサーなんて仕事は言われたとおりにやれば誰でもできると考えたのである。仕事を続けながらロースクールに通いだしたが、司法試験に合格するのは無理だとわかり、退職。二回目の受験で司法試験に合格している。
理屈としてはわかるが、10年後の夢を描いて、その目標に向かって進むということは、現実的には極めて難しいことだと思う。よほど環境に恵まれ、教えられ、自分で考えるように躾けられないとできない。
10年前を振り返って、あのお陰で成功できたというのは簡単かもしれないけれど。将来に向かって今やるべき行動を決めるのは難しく、家庭や環境、他人との交流が大きく影響する。

 私の現役時代にはいろんなチャートを使っていたが、菊間さんが見せてくれたのは一般的には「曼荼羅チャート」と呼ばれる図だ。今最も人気のある日本ハムの大谷翔平選手を生んだ花巻東高校でも使われている目標設定シートである。彼女の目標設定シートをご覧いただければ、理解できると思う。さすがにアナウンサー経験者で講演の時間も予定通りピッタリと終わった。弁護士として重要な弁舌能力はアナウンサーの経験がずいぶん役に立っていると思う。また、彼女が持っている論理性も重要な資質である。次の10年後はどのような目標を持っておられるのだろうか。

 最後に、「今回は本当にご苦労様でした」とお礼を述べて「あれだけのご苦労をなさっても表には全く出る場がなかったですね」と言うと「しょせん、我々は黒子なんです」とおっしゃって笑っておられた、佐藤義章白井稲門会会長に敬意を表したい。

開催 2016/11/26   執筆 鶴