ホキ美術館、写実絵画の世界

 毎年、日展には見に行っているが、展示作品の中でも、楽しみにしているのは質感が緻密に描写された絵画である。洋画に多いが、日本画の中にもそのような作品を見かけることがある。
 気に入った作品は写真に撮影しているし、このブログにも公開している。質感が繊細に表現された作品は写実絵画に多く見られる。
 最近、フェルメールの作品がリアリズム作品の代表みたいに扱われているが、ダ・ヴィンチの「モナリザ」や「最後の晩餐」などの作品もリアリズム絵画と言われる。 近世ではダヴィドの「ナポレオンの戴冠式」(1807年)が有名である。日本の画家でも高橋由一や黒田清輝が1800年代後半に登場する。

 10月の半ばに千葉市にあるホキ美術館に行った。テレビで写実絵画の紹介があって、是非とも見てみたかった。
 ホキ美術館には外房線の土気駅で降り、あすみが丘東4丁目までバスを使う。
 館内は静かで、ほとんどが写実絵画で占められている。当館は約500点の作品を所蔵しているそうだが、展示されているのは約150点であった。
 私が訪れた時の特集は「画家の眼がとらえた美」で、特集によって展示を入れ替えているそうだ。実際の絵画はYouTubeの画像を見ていただければわかるが、写真と何が違うかというと、やはり、質感である。例えば、当館第一号の作品である森本草介氏による「横になるポーズ」は日展で良く見るような質感の強調ではなく、まさに眼でみるような柔らかさや、美しさが一目でわかる。この美術館の絵を見る前は、もっと強調された質感の作品ばかりかと思ったが、そうではなかった。勿論、画家や作品によっても異なるが、風景画でも、精緻な描写である。さらに綿密に描かれている静物画、1年に数点しか描けないということがよく理解できる。

 ほとんどの作品はガラスで覆われていて、写真に撮れないのが残念である。ただ、写真に撮れたとしても、瞬間的にその質感が消え失せてしまう。やはり実物で見るに限る。別冊「太陽」からも「写実絵画の新世紀」が発売されているが、同じことが云える。ガラスで覆われることによる、質感の薄らぎももったいない。
 「まるで写真みたい」という表現も写実絵画の本質を理解していないのではないかと思う。写実絵画と云っても、すべての眼に見えるものを描いているのではなく、無駄なものは捨象し、画家の描きたいと思う美のみを描いているのである。
 平日の静かな館内でゆっくりと過ごせたのも思い出になった。また、何度でも行ってみたい。下の絵は若手画家の一人で、岡康友さんの作品です。

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