名曲喫茶廻り(2)

ルネッサンス1 ルネッサンス2
ルネッサンス

高円寺には「ネルケン」と「ルネッサンス」の2軒の名曲喫茶がある。「ネルケン」は歴史も古く、ファンも多いようだ。もう一つの「ルネッサンス」は、前回の名曲喫茶廻りで行った、阿佐ヶ谷にある「ヴィオロン」の入り口に貼ってあった案内書きを、写真を拡大して見つけた。場所はそれを頼りにしてネットで探し出した。

地図で見て近い方から廻ろうと思い、まず「ネルケン」に行った。時刻は3時を過ぎていた。お昼と夕方の営業の間なのか、入口に「準備中」という札がかかっていた。
順序を替えて、先に「ルネッサンス」に行った。「ネルケン」からは遠くない。ここは開店が11月23日で、出来たばかりの店である。地下に降りてドアをあけると、中はずいぶん暗い。しかも壁には古い掛け時計やランプ、楽器がたくさん飾ってある。これが開店早々の店かと思うほど古いものがずらりと置いてある。まるで店全体が古くからある名曲喫茶に見える。「ヴィオロン」と同じように真ん中がボックス席のようになっていて、周りが高くなっていた。多分、経営者が同じなのだろう。お客は一人もいない。感じの良い若い女性が一人で応対してくれた。
AAFCの名刺を出して、その女性に聞いてみたが、スピーカーはタンノイと言うだけで、型名はわからないそうだ。アンプは手作りの真空管アンプを使っていて、すべてLPレコードを利用しているという。ここでしばらく、音楽に聞き入った。最初はスカルラッティのチェンバロソナタをユゲット・ドレフュスの演奏で聴いた。音の響きはとても良く、チェンバロ独特のバロック的単調さがなくて、根戸小学校で聴くよりはるかに良い音であった。バロック音楽を聴くには良い喫茶店であると思う。席は30名程度が入れそうだ。
バロック中心かと聞いたら、そうではないようだ。次にブラームスの交響曲第4番をワルター、コロムビア響の演奏で聴いた。パチパチ音が目立ったが、音響的には良いと思った。お店の中は私一人で、若い女性は横にある明かりの灯った部屋で本でも読んでいるのであろう。あまり長居してる雰囲気でもないが、40分ほどもいたと思う。

4時を過ぎて、もう夕方の営業が始まっているだろうと思って「ネルケン」に行った。「営業中」の札が掛かっていた。中に入るとすでに数人のお客が入っていた。室内は明るく、本を見ながら勉強している女性もいた。壁はたくさんの絵が画廊のように飾ってある。ややお歳を召した品のあるご婦人が一人で営業している。スピーカーは天井に近い高い台の上に横にして置いてある。ダイヤトーンだということだ。タンノイほど大きくはなく、重厚さもないが、音の響きは良かった。壁や店の構造にも音響を良くする工夫がなされているのだろう。
入ったときはデジュー・ラーンキ演奏のモーツァルト、ピアノソナタが鳴っていたが、次にシゲティ演奏でトビッシーの「月の光」などが入ったヴァイオリン曲集を聴かせてくれた。
「ルネッサンス」に比べると気楽に音楽を聴きながら会話もできそうな雰囲気である。椅子やテーブルもきれいで居心地も良い。クッキーを食べながらコーヒーをいただいた。

高円寺の2軒の店は、どちらも駅から近くて便利だ。じっくり音楽を聴くなら「ルネッサンス」、気楽に本でも読みながらゆっくりするなら「ネルケン」という感じだろう。次に新宿で飲むときはどちらかに寄ってみようと思う。

せっかく高円寺まで来たので、阿佐ヶ谷の駅まで行って、学生時代に住んでいた下宿あたりまで行ってみた。駅の横の線路沿いにある一番街はわかったが、その先がまるで見当がつかない。住宅街も家が建て込んでいて、道がやけに狭い。40年前と今の道路幅の感覚がまるで違うのである。早々にあきらめて、駅まで戻り、新宿に向かった。

ネットで調べてみると、新宿には「らんぶる」という名曲喫茶があるという。飲み会の場所に近いので行ってみたら、確かに喫茶店はあるが、すでに名曲喫茶という形態は止めて、普通の喫茶店になったと云われた。中は明るく広くて綺麗だが、小さな音でベートーヴェンの「田園」が鳴っていた。

追記)「ルネッサンス」は、以前、中野にあった「クラシック」という名前の名曲喫茶が移転してきたようだ。古い時計やランプ、オーディオもそこから持ち込まれたとネットに記してあった。住所は以下のとおりです。
杉並区高円寺南2-48-11   「ネルケン」のすぐ近くです。

ネルケン ネルケン2
ネルケン
産経新聞1月25日
産経新聞1月25日