


ここ3ヶ月は毎月バスツアーに出かけている。尾瀬、白馬、それに今回の北八ヶ岳である。尾瀬のミズバショウや池塘の景色に惹かれたのが癖になってしまったようだ。白馬はハイキングとしては大したことは無かったが、高山植物園での花々が綺麗で、バスの中の会話も楽しかった。それに安曇野の蕎麦が実に美味しかった。ただ旅行するだけではなく、旅先での風景や高山植物の写真撮影が大きな動機になっている。カメラは昔からの趣味であるが、一昨年、新しい一眼レフデジカメを買ったおかげで、撮影技法にも新しい興味が湧いてきてまた凝りだしたのである。写真と記事を書くというブログのスタイルも定着している。
朝6時50分、松戸発のバスに乗った。乗客は約15人程度で、ほとんどが一人旅のようだ。本格的な登山コースで、天気もパッとしない。昼からは雨も降るという予報が出ていた。そのためか、これまでのツアーとはお客さんの服装や雰囲気も異なっていた。皆、立派な山登りの格好である。関越道経由で中央道へ出て、諏訪のインターを出、国道152号線から299号線経由でピラタス蓼科ロープウェイの駅に着いた。 すでに雨が降っていて、ロープウェイからは何も見えず、山の上は霧になっていた。ロープウェイの山頂駅で昼食をとり、雨具を装着した。山で雨具を着るというのはこれまで殆ど経験していない。ゴアテックスの雨具は持っているが、カメラを入れるとザックに入らない。着用したのは前日用意した100円ショップの雨具である。
まず坪庭に寄った。霧で何も見えない。ここから、「五辻」を経由して、石がゴロゴロしていて、その間を雨水が流れる登山道を、ひたすら「出会いの辻」まで歩いた。この道は本来は冬のクロスカントリー用に設けられた道で夏山の道ではない。日帰りバスツアーだけに最も無難なコースをたどったのだ。滑らないように足元に注意して歩くので、下ばかり見て歩く。「出会いの辻」に着いたときは、暑くて、汗だくになっていた。汗で内側から濡れるより、雨に濡れたほうがましだと思い、雨具を脱いで歩くことにした。「出会いの辻」で大石峠方面の道をたどり、「おとぎり平」から急坂を下り、「コケモモの庭」に出た。それまでずっと針葉樹林の中を通ってきたが、ここで背の低い樹木で覆われた溶岩台地が現れ、やっと北八ヶ岳らしい苔に覆われた庭の景色を見ることができた。
しばらくすると、国道299号線に出たが、道を横切って、また山道に入った。ここからは、苔に覆われた樹林が続く。雨もすっかり上がり、気持ちの良いハイキングになった。麦草峠の手前で、鹿避けの冊があり、扉を開けて入るようになっていた。その柵を過ぎると、アキノキリンソウやハクサンフウロ、ノアザミなどの高山植物が見られるようになった。
麦草峠から白駒池までの間は「もののけ姫」の舞台になるような苔生した樹林が続き、木の下が空洞になっているようなところもある。「この森の中に入って行ったら、きっと迷い込んでしまうね」と皆で話しながら歩いた。お互いに知らない人たちばかりだが、いつの間にか打ち解けていた。
白駒池の近くにくると、低い樹林になり、シャクナゲの木が群生している。坪庭のような見晴らしになっているが、溶岩台地のため背の低い樹木しか育たないようだ。シャクナゲが咲きそろった頃に来ればさぞ綺麗だろうなと思ったが、ガイドさんの反応はよくない。ここの野生のシャクナゲはあまり綺麗ではなさそうである。秋の紅葉は素晴らしいと言っていた。
雨が止んでも、雨水が木から落ちるので、写真撮影は難しい。それと、山岳ガイドのSさんのペースが速くて、ゆっくり写真を撮っている暇もなかった。
白駒池でしばらく休憩して、帰りはバスが迎えに来ている白駒池入り口まで歩いた。そこから、諏訪のインターに入り、中央道を通って帰った。諏訪のインター近くのお土産屋さんで雨具をすべて処分したが、ずっと履いていた下の雨具を脱ぐと、スボンがびっしょりと濡れていた。汗と外から入った雨で濡れたと思う。靴下も替えたが、ローカットの靴では雨の中はダメだということがわかった。
行きも帰りも、バスの中では隣席が空いていて、一人で、文庫本「佐賀北の夏」を読んでいた。2007年の夏、母校の佐賀北高校が甲子園で優勝したときのノンフィクションストーリーである。
